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中野自動車商会 中野忠浩のブログ(燕市)0120-559-154

新潟県燕市旧分水地区で50年以上営業している中野自動車商会の2代目のブログ。車検・鈑金・ロードサービス・バッテリージャンピング・保険修理・4輪ホイルアライメント・パンク修理


by 中野 忠浩

もう一つの「夢」 BY 一の山印刷

10月のイベントに向けて準備をすすめてますが

今年は次の文章からイメージを広げていきます。

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もう一つの「夢」

ジョージさんは退職金で手に入れた大きなワゴン車に、

機材を積んでバンド活動をしている。

バンド名は「ミソラ」筋金入りのひばりファンだ。



「この歳だからこそ、アクティブな車が欲しかったんだよ。

第2の人生はタフな車と最高のバンド活動をエンジョイするって

決めていたからね。」

英語の発音をわざとネイティブ風にするジョージさん。

それは外国人だからではなく,永年外国に憧れ育ったから。

本名は、田中譲二、生粋の日本人だ。



ジョージさんの車はいつもピカピカだけど、ギターは酷くオンボロだ。

「車は俺の相棒で、楽器は俺の分身だ。連れは綺麗に越したことはないし、

俺は今のままの自分が好きだ。川の流れのように、なすがままにこの身を

任せて生きるよ。

ひばりもマッカートニーもそう歌っているよ」




口笛を吹きながら,縁無しの丸い眼鏡をシャツの裾で拭いて彼は言う。

「レンズって知らないうちに汚れてんだよな」と、眼鏡を空にかざした。

「めちゃくちゃ天気が良くて運転しているだけでウキウキする日に、

ウオッシャー液をいっぱい出してワイパーをかけてみな。

汚れていないと思っていたフロントガラスがスッキリして、

世の中がピッカピカに見えるから」

にこにこと嬉しそうに笑いながら、ジョージさんは僕の顔を見た。

「俺にとってバンド活動は心のワイパーみたいなもんだよ。

人の心も気づかないうちに汚れているんだ。

だから音楽に心を洗って貰うんだよ」




ある日、ジョージさんは「夢」の話をしてくれた。

ライブの帰路、陽が沈み始める高速道路。

彼は大切な相棒のハンドルを握りながら話し始めた。

「俺はコイツを人生最後の車って決めているんだ。

一緒にいろんな所に演奏を聞いて貰いに出掛ける。

それが俺の夢だったからね、今は本当に楽しいよ。

。。。。でもいつかは、俺もコイツも老いぼれる時が来るだろ?」

僕は思わず運転席の方を見る。

そこにある表情は意外にも笑顔だった。

「その時が来たら俺、運転も今の活動もスッパリとやめる。

そしてバンド仲間を全員誘って、老人ホームに入るよ」

瞳を輝かせながら彼は続ける。

「もう一つの「夢」を叶えるんだ」

少年のような横顔が茜色に染まっていた。もう一つの「夢」 BY 一の山印刷_b0237229_1118385.jpg




「今度の夢は凄いんだ。老人ホームにライブハウスを作るのさ。

お前ら若いものには到底出来ない、聞いているだけで幸せになれる演奏を。

そして、大勢の人達がそれを聞きにホームまでやって来るんだ。

誰もがそれぞれに音楽を楽しみ、最高な気持ちになる。

老人ホームをさ、そんな場所に変えたいんだよ」

眼鏡の奥の細い目が、さらに細くなる。

「みんなの心がピッカピカになるようにね」





僕は目を閉じてその演奏を思い描いてみた。

観客の前でオンボロなギターを弾いて、ジョージさんが歌い始める。

皆、その時を、今を、あるがままに受け入れ、そして愉しんでいる。

癖のある英語で、ビートルズのレット・イット・ビーが聴こえてきた。

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文章の制作は一の山印刷さんです。

このイメージをもとに楽しいイベントにしたいと思ってますので

今後にご期待下さい。

イベントは、10月19(土)20日(日)の予定です。
by nakano-auto | 2013-09-11 11:11 | Comments(0)